「袴田事件」の時30歳だった裁判官の「熊本」は死刑判決に異議を唱えるが、2人の先輩裁判官に押し切られ、最終的には多数決で負けて、心にもない「死刑判決文」を書くことになるー
彼は懊悩し、裁判官を辞めて酒におぼれ、家族を崩壊させ、自殺未遂をし、やがて行方不明となってしまう。
この後、「熊本」は40年を経て突然マスコミの前に現れ、あの裁判は間違っていたと告白し、海外のメディアでも大きく取り上げられて一躍「美談の男」となる。
しかし彼にはもう一つの顔があることが、だんだんと分かってくる。本心は何なのか。償いなのか、それとも売名行為なのか?
袴田さんや袴田さんの家族は言うに及ばず、この裁判官「熊本」、「熊本」の家族…どれだけの人の人生が狂うことになったのか、なぜこのようなことになったのか、私たちは知って、考えなければならないと強く思う。
本校にご勤務されていた社会科教諭、海老原栄先生(故人)が寄贈してくださった本です。
(司書 山中)