タイトルから受ける印象はいかがでしょうか。一見テーマはとてもセンシティブで、どう扱ったらいいか苦慮し避けてしまいがちです。しかし、決してやり過ごせるものではなく、むしろ丁寧に向き合うべきものです。かつて保護者親世代の学生時代は、保健体育の授業でさらっと話を聞きおしまいというケースが殆どでしたが、昨今はそうは言っていられません。
著者は焦点がボケないよう敢えて対象を男子校に絞り込み、各学校現場での性教育の取り組みを取材し特色を伝えています。そして、「人権」といった抽象的な概念だけではなく具体的に切り込み、そこから垣間見える幾つもの社会課題をあぶり出しています。それは、教科の保健体育だけではなく家庭科や社会科、倫理等、あらゆる領域を横断する包括的性教育であり、大きな学びにもつながります。確かこの著書には触れてなかったと思いますが、私自身は生物の生殖の奥深さや法律等にも関心を寄せるきっかけになると思います。生徒だけでなく、大人にも読んでいただきたい1冊です。
念のため、別学を否定、肯定する内容ではないことを申し添えておきます。
(司書 古川)