3人は去り、謎が残った。
北極探検隊の謎を追って : 人類で初めて気球で北極点を目指した探検隊はなぜ生還できなかったのか / ベア・ウースマ著
南極点到達競争で、あと一歩のところでノルウェーのアムンセンに競り負けたイギリスのスコット隊の悲劇は、比較的よく知られていますが、気球を使って北極点一番乗りを目指しながら失敗したスウェーデンのアンドレー隊については、日本ではほとんど知られていません。
アンドレーとその仲間たち3人は、北極点を目指し、1897年7月11日に離陸。しかしそのまま消息を絶ってしまいました。
その33年後、1930年に野営地と3人の遺体が発見され、探検は失敗に終わっていたことが判明。
残された手記によると、出発後わずか3日で不時着。徒歩での帰還を試み、3か月間流氷上を放浪した挙句、無人島に上陸したところで何らかの原因により死亡したことがわかりました。しかし、死亡した理由がわかっておらず、さまざまな説が唱えられています。
この著者は、ふとしたきっかけでアンドレー隊について知り、3か月間もの間、流氷上を放浪できたのに、なぜ陸上で彼らが遭難したのかを調べ始めます。
手記や、遺留品、今まで唱えられている様々な説を徹底的に吟味し、ついには彼らの臨終の地、北極海に浮かぶ無人島にまで足を延ばします。
その地で、著者がたどり着いた一つの結論とは…。
(司書 中島)