皆さんの中には将来、動物に関係した仕事に就きたいとか、水族館で働きたい、または獣医師になりたいなど希望している人はいますか。では、その理由は何ですか。何に興味があるからですか…
一口に生き物に関する仕事と言っても、実にさまざまな職業があり、生き物にアプローチできるチャンスは多々あります。著者の田島さんは、主に海に打ち上げられたクジラを解剖し調査研究をする、国立科学博物館の研究者で獣医師でもあります。海辺に打ち上げられたクジラの一報が入ると、全国どこへでも駆けつけ、腐敗の進行と戦いながら解剖し回収するのだそうです。実際に体験されたエピソードや苦労話、その舞台裏が紹介されています。
また、クジラだけでなく海の生き物たちの生態の不思議にも触れ、その内容は海の生き物を取り巻く環境問題などにも及び、興味関心の幅が膨らむ一冊です。
分野にかかわらず、何歳になっても探究心が尽きないこと、また没頭するほど好きなことがあるのは素敵だな、とつくづく思います。皆さんもぜひ「自分の好きなこと」に没頭する時間を確保してほしい、とこの本を読んで思いました。
(司書 古川)