「言葉には、疲れた時にそっと肩を貸してくれたり、息が苦しくなったときに背中をさすってくれたり、狭まった視野を広げてくれたり、自分をやすませてくれたり…そんな役割や働きがあるように思う。」
このようなまえがきに興味を持ち、手に取った本です。文学や障がい者文化論が専門の著者によるエッセイです。
「自分の力ではどうにもならない事態に直面して、それでも誰かのために何かをしたくて、でもどうしたらいいかわからなくて…という思いが極まったとき、ふと生まれてくる言葉が「詩」になる。」と書かれている一説もあり、納得できました。
「私が「生きる意味」について、第三者から説明を求められる筋合いはありません。もし私が「生きる意味」についてうまく論証できなかったとしたら、私には「生きる意味」がないということになるのでしょうか。」
という問いかけもあり、何かを「言葉にして発信する」ということについて、深く考えさせられます。
力強くもあり、優しさもあふれる文章で、重い問いを投げかけてくれます。
(司書 山中)